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令和7年公示地価 全国平均2.7%上昇で4年連続↑ 東京23区はすべてアップ

2025/05/13

 国土交通省はさきごろ、令和7年1月1日時点の公示地価を公表した。全国の地価は、景気が緩やかに回復している中、地域や用途により差があるものの、全国の全用途平均は上昇率が拡大し、三大都市圏、地方圏ともに上昇基調を強めている。今回の地価公示は、全国26000地域を対象に、令和7年1月1日時点の価格を調査した。住宅地、商業地、工業地を合わせた全国全用途平均は前年より2.7%上昇し、4年連続の上昇となった。用途別では、住宅地2.1%、商業地3.9%、工業地4.8%といずも上昇した。三大都市圏の地価動向は次のとおり。

東京圏… 全用途5.2%、住宅地4.2%、
商業地8.2%、工業地7.1%。
大阪圏… 全用途3.3%、住宅地2.1%、
商業地6.7%、工業地7.3%。
名古屋圏… 全用途2.8%、住宅地2.3%、
商業地3.8%、工業地3.9%。

 東京都の地価の動きを見ると、住宅地、商業地ともに23区すべて上昇。住宅地で上昇率が大きいのは中央区13.9%、港区12.7%、目黒区12.5%、品川区11.9%、文京区11.8%。住宅需要は全体的に堅調だが、とりわけ都心区とそれに隣接する区の利便性が高い地域ではマンション、戸建住宅とも需要が旺盛で、上昇率が拡大した。
 東京都の商業地を見ると、上層階のマンション利用が可能な地点を中心に上昇傾向が見られた。上昇率が大きいのは中野区16.3%、杉並区15.1%、台東区14.8%、新宿区13.7%、千代田区13.3%、渋谷区13.3%。特に、多くの国内観光客で賑わっていた浅草周辺(東京都台東区)では、インバウンドの回復により店舗等の需要が増加傾向にあることから、地価の上昇が拡大している。

 大阪府の地価を見ると、大阪市の住宅地が5.8%上昇し、全24区で上昇率が拡大した。特に中央区、西区、福島区、天王寺区などの市中心部や、それに隣接した浪速区、城東区などにおいて5%以上の高い上昇率を示している。堺市では2.5%上昇、全区で上昇が継続し、中区、南区、美原区以外の区で上昇率は拡大した。

 大阪市の商業地は11.6%上昇し、西区以外で上昇率が拡大。梅田地区では、堅調なオフィス需要や、大阪駅前再開発「うめきた2期」への期待から上昇率が拡大した。
 インバウンド需要の影響が大きかった心斎橋・なんば地区では、国内の観光客を含む大幅な人流回復を受け、店舗需要は回復しており、上昇率が大きく拡大した。

 愛知県では名古屋市の住宅地が3.6%上昇した。全16区のうち14区で上昇率が縮小。市中心部の利便性良好なエリアに加え、市外
縁部でも高い上昇率となった地点が見受けられ、熱田区で8.4%上昇、中村区で5.2%上昇、千種区で4.8%上昇となった。
 名古屋市の商業地は5.0%上昇。全16区のうち、11区で上昇率が縮小。名駅周辺や栄・伏見周辺では、オフィス・店舗等の需要が堅調で、大規模開発計画等による発展期待感もあり、千種区で8.9%、熱田区で7.0%、中村区で5.7%上昇した。市外縁部の交通利便性が良好な地区でも、店舗・事務所・共同住宅の需要が堅調で、地価上昇が継続している。

 一方、地方圏を見ると、地方四市(札幌市、仙台市、広島市、福岡市)において地価が上昇しており、全用途5 . 8% 、住宅地
4.9%、商業地7.4%、工業地9.3%のプラスとなった。いずれも12年連続の上昇となり、地方四市の中心部の地価上昇にともない需要が波及した周辺の市町でも高い上昇率を見せている。
 また、訪日客でにぎわう長野県白馬村や野沢温泉村は、別荘やコンドミニアムの需要が旺盛で、地価の高い上昇が継続している。一方、石川県能登地域を中心に、地震や豪雨による建物およびインフラ被害などで人口流出が加速し、住宅や店舗などの需要低迷により、地価の下落幅が拡大した。
 
 なお、全国の地価トップは、東京・銀座の山野楽器銀座本店の1平方メートルあたり6050万円で、前年から480万円増加した。

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